■平成
■15
■16
16年3月までの時期に生じた410万円の返還 28 は,それが余剰金であるというA議員とそれ以外の不適切な使途であるとす る控訴人補助参加人との対立であるところ,この争いは,前記認定のとおり の控訴人補助参加人における政務調査費の経理処理に関する仕組みの基本部 分は互いに理解を共通とした上で,この金額に対応する形で具備された領収 書が各議員の政務調査費の使用に伴い生じた各月50万円を超えた分を集め たものかどうか,また仮に控訴人補助参加人内部の処理基準を満たした領収 書の提出があった場合であるとしても,団費の管理の在り方が上記の処理基 準に違反しないかどうか,等についての争いである。
そして,この争いは, 団費全体が架空の資金の温床となっているというようなことを示したりする ものではない。
平成16年4月から平成17年3月までの時期における570万円の事前 処理は,余剰金の管理の在り方をめぐる争いであり,これも,同時期の団費 全体を直ちに目的外支出と結びつけるものではない。
同年度の250万円をめぐる争いは,本来の共通経費の支払のために必要 とする領収書に関する控訴人補助参加人内部の基準の遵守の問題であり,こ れも,同時期の団費全体を直ちに目的外支出と結びつけるものではない。
5 文書提出命令の申立てについて 被控訴人らは,当審において,控訴人補助参加人が名古屋市から交付を受け た平成15年度及び平成16年度の政務調査費の支出に関して,支出の実態と 収支報告書の記載とが異なっていること,共通経費及び余剰金の使途などの事 実を証すべき事実として,控訴人補助参加人が所持する平成15年度分及び平 成16年度分の2か年分の政務調査費のうちの控訴人補助参加人の共通経費の 支出に関する領収書,支出証明書及びこれに類する書面について,文書提出命 令の申立てをした。
しかしながら,本件は個別の支出の性質を問題とする事案ではなく,会派と しての控訴人補助参加人が市から交付された政務調査費の55分の5に当たる 29 金員を,内部的に団費として区分し,それを構成する本来の共通経費あるいは 余剰金として経理上処理(仕訳)される支出の全体が収支報告書の記載と異な ることを主な理由として団費全部の不当利得返還請求をするように求める事案 である。
収支報告書においては議員個人分と団費との区別なしに政務調査費の 各費目の合計額だけが記載されるため,両者が異なること,その理由あるいは 経理処理の仕組みについては,本件の既出の他の証拠により十分立証されてい る。
しかも,領収書については,その宛名が議員個人分と会派としての控訴人 補助参加人のためのものとに分かれ,かつ,議員個人宛の領収書には議員個人 分の政務調査費の支出を明らかにする分(部分)と,余剰金の支出確保のため に使用される部分とがあるので,領収書だけ見ても,議員個人分の政務調査費 と余剰金の具体的な額が直ちに判明するわけではない。
被控訴人ら指摘の経理 上の疑問点がいくつか見られることが明らかとなったが,本件請求は不当利得 返還請求をするように求めるものであるから,疑義のある支出についても,そ れにつき利得が現存しないこと(すなわち市に返還がされていること)が判明 したときには,当該疑義のある支出の実態をそれ以上解明できなくても(解明 しなくても),請求についての判断自体には支障がない。
このような事情から, 既出の証拠によって既に判断をすることができ,かつ,申立てに係る文書が提 出されることで判断がより迅速で確かなものになるとの事情が必ずしも見込ま れないことに照らし,本件文書提出命令の申立ては,当該文書の証拠調べの必 要を欠くので,これを却下するのが相当である。
第4 結論 以上によれば,被控訴人らの請求は,控訴人に対し,控訴人補助参加人に対し て不当利得として165万9781円の返還及びこれに対する控訴人補助参加人 に対する訴訟告知書送達の日の翌日である平成17年10月15日から支払済み まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求める限度 で理由がある(遅延損害金請求の起算日を訴訟告知書到達の翌日とすることの理 30 由は原判決「第3 当裁判所の判断」欄4の判断を引用する。
)から,その限度 で認容するのが相当である。
そこで,原判決を一部変更し,主文のとおり判決す る。
(3) 自己実施分における相当の対価の判断の誤り ア超過売上高について (ア) 受けるべき「利益」 原判決は,一審被告の自己実施期間の超過売上高について,?自己実 - 48 - 施期間中の売上高314億2140万円を基礎として,?その4割相当 額が超過売上高である,と認定した。
しかし,そもそも「使用者が受けるべき利益の額」は,飽くまで「利 益」である。
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「利益」とは売上から諸経費を控除して算定するものであ り,この諸経費中には,アルガトロバンを売り上げるための直接的な原 価や販売経費だけでなく,莫大な開発費も原価として算入されなければ ならない。
原判決が「1つの新薬の開発には10年〜18年を要し,研 究費は150〜200億円,対売上高比率でみると全産業の平均値の約 3倍を要する上,その成功の確率も1万分の1未満であり,運良く臨床 試験に到達したものであっても最終的に製造承認がされる確率は11〜 13%である」(69頁下3行〜70頁1行)と認定するように,新薬 の莫大な開発費をごくまれな成功製品の売り上げでまかなう必要がある からである(なお,原判決はこの点を捉えて,成功確率による減額とし て90%の減額を行っているが,それを考慮するのであれば成功確率が 1万分の1未満である以上,99.99%減額すべきである。
)。
もっとも,上記開発経費のうちからアルガトロバンの原価に算入すべ きものを特定して算出することは不可能である。
そうすると,一審被告 が原審で主張したとおり,一審被告が医薬事業を行ってきた営業年度に おける売上高に対する営業利益の占める割合である営業利益率は,医薬 関連事業における売上と経費との関係を総合的に表しているものという ことができるから,これをアルガトロバンの売上高に乗じることにより, 開発経費等を含む諸々の経費をアルガトロバンの売上に応じて振り分け て控除することができると考えられる。
一審被告が医薬事業を行ってき た長年にわたる営業年度の営業利益率は平均3.75%であるから,ア ルガトロバンに関する利益を算定するに際し,これに振り向けられるべ き開発経費等を算定し,これを売上から控除するために売上に乗ずべき - 49 - 利益率は3.75%程度であるというべきである。
(イ) 再審査期間中の排他力 原判決は,再審査期間中に受けた一審被告の利益も「使用者が受ける べき利益」に含むとした(原判決65頁9行〜20行)。
しかし,「再審査期間中であっても,他者が承認申請に必要な試験を 自力で行って資料を揃えて申請することは禁じられていない」との認定 は,論理的にはあり得るとしても,実務を全く理解していない机上の空 論である。
再審査期間中に後発医薬品を製造しようとする会社は製造承 認を得ることが必要であるが,それは事実上不可能である。
これに対し, 再審査期間経過後には,後発医薬品会社が製造承認を得ることは事実上 もあり得る。
これは,後発医薬品会社は,再審査期間中に製造承認を得 るためには先発会社と同等又はそれ以上の資料を揃える必要があるが, 再審査期間経過後では揃えるべき必要な資料が格段に少なくなるためで ある。
したがって,一審被告が原審で主張したとおり,再審査期間中に他社 の侵入を妨げているのは薬事法上の再審査期間制度であるから,再審査 期間中の特許権の独占力というのは存しないか,存したとしてもゼロに 等しいものである。
(ウ) 特許権が利益に寄与する割合 原判決は,一審被告が競業他社にアルガトロバン関連6発明及び本件 発明の特許又はノウ・ハウとしての秘匿により得ることができた超過売 上高は4割であるとする。
しかし,一審被告が原審で主張したとおり,一審被告の利益は特許権 のみによって生まれるものではなく,会社資本(設備,費用),人(従 業員),特許権が相まって生まれるものである(いわゆる3分説)。
原判 決も,「被告は,被告の利益は会社資本(設備,費用),人(従業員),特 - 50 - 許権が相まって生まれるものであり,被告のアルガトロバン関連の利益 に対するすべてのアルガトロバン関連特許発明全体の寄与割合は多くと も3分の1にすぎない旨主張する。
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